「生理前になるといつも食べ過ぎてしまう」と食欲を必死に我慢しているそこのあなた!
生理前の食べ過ぎは女性ホルモンが関係しているため、食欲が抑えられないのは当たり前のことです。無理に我慢してしまうと、ストレスによってさらに過食が悪化してしまうかも……。
今回は、医薬品登録販売者の円山真由佳さんに生理前の過食の原因や対処法を紹介してもらったので、生理前の食べ過ぎが気になる人はぜひ読んでみて!
生理前の“過食”は当たり前のこと!
生理前の過食は、女性ホルモンの変動によるPMSの症状のひとつです。
生理前に食欲が増す理由は主に2つ。
1つ目は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加です。プロゲステロンは妊娠に備えるホルモンのため、増加すると体が栄養を蓄えようとして食欲が増します。
2つ目は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少です。エストロゲンは血糖値の上昇を抑える働きがあり、減少すると血糖値が不安定になって空腹感を感じやすくなります。
このように、生理前の過食は女性ホルモンの変動を理由に、誰にでも起こる可能性があるものです。食欲が抑えられなくても、罪悪感をもつ必要はまったくありません!
なお、PMSの症状は、ストレスや食生活の乱れ、運動不足や睡眠不足などによって悪化するといわれています。食べ過ぎて罪悪感や自己嫌悪で精神的に不安定になったりストレスがたまったりしていると、さらに過食が抑えられなくなる可能性も。
「生理前に食欲が我慢できないのは当たり前のこと」と割り切って考えすぎないようにすると、PMS過食の症状が和らぐかもしれません。
PMS過食期の「OK食材」と「NG食材」
PMS過食でどうしても食べ過ぎてしまうなら、生理前の体にいいものを食べるのがオススメ!
生理前に摂るべき栄養素が含まれた食材なら、多少食べ過ぎても罪悪感を抱く必要がなくなります。
いっしょにPMS過食期のNG食材もご紹介するので、ぜひ生理前の食事の参考にしてください!
生理前に摂りたい!PMS過食期のOK食材
生理前に摂りたい栄養素は、ミネラル類やトリプトファン、イソフラボン、食物繊維などです。
とくに、生理によって不足しやすい「鉄」は積極的に摂りましょう! 鉄は、レバーや赤身の肉と魚、カカオ、豆乳、小松菜、ひじきなどに多く含まれています。
また、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどは、さまざまなPMSの不調の緩和に役立つといわれています。ミネラル類の含有量が多いのは、緑黄色野菜やナッツ類などです。
ほかにも、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料になるトリプトファン、エストロゲンと似た働きをするといわれる大豆イソフラボン、生理前の便秘や肌荒れ対策の食物繊維などが含まれた食材もオススメ!
生理前は野菜チップスや小魚ナッツ、バナナ、チーズなど、上記の栄養素が豊富なものをおやつにして、生理の不調対策に役立てましょう!
生理前は避けたい……! PMS過食期のNG食材
次は、PMSの症状や過食を悪化させる可能性がある、生理前に避けたいNG食材です。
アルコールやカフェイン、多量の炭水化物、塩分の強いものなどは、PMSの症状を悪化させるといわれています。
また、糖質が多い食材は血糖値を急激に変動させるため、空腹感が増して過食が悪化してしまうかも……。
砂糖を多く含むチョコレートやケーキ、清涼飲料水、炭水化物や脂質、塩分が多いラーメンやインスタント食品などは、生理前にはなるべく避けましょう。
さらに、生理前は胃腸の調子が悪くなることも。胃腸への負担が大きい辛いものも、生理前は控えめにしておくと安心です。
生理前の食べ過ぎを防ぐ3つの対応策
「生理前に食べてもいい食材はわかったけれど、やっぱり食べ過ぎは避けたい」そんな人は以下の方法を試してみましょう!
すぐ食べられるものを買わない
食欲を我慢できないときにすぐに食べられるものがあると、つい食べ過ぎてしまうことが多くなります。お菓子やコンビニスイーツ、惣菜パンなどの、調理しなくてもすぐ食べられるものは、できる限り買い置きをしないようにしましょう。
生理前にコンビニやスーパーで食べものを衝動買いしたくなったら、上記のOK食材や調理が必要なものを買うのがオススメです。
少量をこまめに食べる
空腹の時間が長かったり1回の食事で大量に食べたりすると、血糖値が急激に変動しやすくなり、食べ過ぎにつながります。
対策には、食事の1回の量を減らして回数を増やしましょう。
たとえば、いつもは7時、12時、19時の3回の食事を、生理前は7時、11時、15時、19時、23時と4時間ごとにするのがオススメです。4時間でもきつい人は、3時間ごともいいですね。
就寝前の夜遅い食事も、「生理前は特別! 我慢して暴飲暴食するよりマシ!」と考えましょう。
夜食を野菜スープやサラダチキン、湯豆腐など、食物繊維やたんぱく質を中心としたメニューにすると、さらに罪悪感が少なくなりますよ。
漢方薬で異常な食欲を抑える
生理前の食べ過ぎには、漢方薬で体質改善を目指すのもオススメです。
PMS過食には、下記のような働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。
● ホルモンバランスを整える
● 自律神経を整えて、ストレスを軽減する
● 過剰に活発になった胃腸の働きを抑える
● 血流をよくして自律神経の乱れを改善する
漢方薬は体と心のバランスを整えて、根本的な体質改善を目的とします。過食だけでなくイライラや生理痛など、生理前のさまざまな不調に悩まない体質を目指したいなら、漢方薬もぜひ検討してみてくださいね。
<PMS過食が気になる人にオススメの漢方薬>
・大柴胡湯(だいさいことう)
自律神経系の乱れによる過食や便秘、胃炎、神経症に用いられます。生理前のイライラで過食しやすい人に向いています。
・加味逍遥散(かみしょうようさん)
PMSに伴う不快な症状に用いられます。疲れやすく、肩がこり、イライラや不安などの精神症状がある人に向いています。
漢方薬は、自分に合うものを選ぶことがとても重要です。合わない場合は十分な効果が得られないだけでなく、思わぬ副作用が起こる可能性があります。
最近では、手軽に漢方薬を始められる「あんしん漢方」のようなオンラインでのAI漢方サービスが注目を集めています。
薬剤師がAIを活用し個人にぴったりの漢方を見極め、手頃な価格で自宅に郵送してくれる便利なサービスです。
生理前の過食とうまく付き合おう
生理前の過食を無理に我慢するのはNGです!
食欲が抑えられないときには、今回ご紹介した生理前の体にいい食材を摂ったり、食べ方のコツを試したりしましょう。
また、PMS過食を解消したいなら、体質改善を目指せる漢方薬を飲むのもオススメです。
ただし、漢方薬は体質に合わないと効果があらわれないこともあります。始めるときは、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してくださいね。
<この記事の監修者>
あんしん漢方 ライター
円山 真由佳(えんやま まゆか)
医薬品登録販売者。ドラッグストアでの医薬品・化粧品販売を経て、市販薬の使い分け方を広めるべく執筆・情報発信を行う。美容薬学・アロマテラピーの資格を保持し、インナーケアや女性の不調ケアにも精通している。
表面的な悩みの奥にある潜在的な悩みをくみとり、対症療法ではなく根本改善を目的としたアドバイスを得意とする。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。