おなかをちょっと触ってみてください。もしおへその周りが冷たいなら、それは“内臓冷え”かもしれません。とくに、冷え性が気になる30歳前後の女性は、内臓冷えが体調に影響を与えることも。今回の記事では、管理栄養士の小原水月さんに、内臓冷えのセルフチェック方法やオススメの温活食材について詳しく紹介してもらったので、ぜひ参考にしてみて!
内臓冷えとは? セルフチェックの方法は?
手足や顔は温かいのに、おなかが冷たい……それが“内臓冷え”です。自分が内臓冷えかどうかは簡単にチェックできます。まず、脇とおなかの両方を触ってみましょう。もし、おなかの方が冷たく感じたら、それが内臓冷えのサインです。
内臓冷えは、体表面は温かくても、体内の温度が低くなっている状態。これにより、内臓の働きが低下し、消化不良や疲労感、肌荒れなどの不調が起こることも。「隠れ冷え」とも呼ばれるので、気づかないまま放置しがちです。まずは、自分のおなかの状態を確認してみましょう!
内臓冷えが招くさまざまな不調
内臓冷えを放置していると、体のさまざまな部分に影響が及びます。内臓が冷えて働きが低下すると、免疫力が落ち、風邪をひきやすくなったり、生理痛がひどくなったり、さらには精神的に不安定になったりすることも。以下で詳しく見ていきましょう。
風邪をひきやすくなる
内臓が冷えると、免疫細胞の働きが弱くなります。免疫細胞が活発に活動するには、体温が36.5℃前後であることが理想。体温が下がると免疫力にも影響が出るといわれています。ですから、内臓が冷えることで、風邪などの感染症にかかりやすくなるわけです。
とくに、秋から冬にかけては、内臓冷えを予防し、体を内側から温めて免疫力を高めることが大切です。日常的に体温を測り、自分の体温の変化をチェックする習慣をつけてみてください!
生理痛がひどくなる
生理痛に悩む女性も多いのではないでしょうか? 生理痛は、子宮内膜から放出されるプロスタグランジンという物質が原因です。これは、子宮の筋肉を収縮させ、月経時に不要な子宮内膜を排出するのに必要なもの。
しかし、内臓冷えによって血行が悪くなると、子宮の筋肉が凝り固まって収縮しづらくなります。その結果、プロスタグランジンが滞り、痛みが強くなることも。冷え対策をして血行をよくすることが、つらい生理痛の軽減に役立つと考えられます。
精神的に不安定になりやすくなる
内臓が冷えると、内臓の働きをコントロールしている自律神経のバランスが崩れやすくなります。その結果、イライラしたり、うつ気分になったり、不安感が強くなったりすることも。これは、内臓冷えが体内温度の調整機能を乱し、脳に負担をかけるからです。
とくに、仕事やプライベートでストレスが多いと感じる方は、内臓冷えを改善することで精神的な安定が得られる可能性があります。体と心は繋がっているので、冷え対策を意識してみましょう。
いま食べるべき!体を温めてくれる食材
体の冷えは、食材選びが改善のサポートになります。冷え性や内臓冷えが気になる方にオススメの食材を紹介します。これらの食材を普段の食事に取り入れて、体を内側からぽかぽかに温めましょう。
大根
大根は冬の代表的な食材で、体を温めるのにピッタリです。大根には、腸の働きを活性化させる食物繊維が豊富に含まれています。さらに、辛味成分のイソチオシアネートは、血流を促進し、内臓に熱を届けるのに役立ちます。これにより、消化器官の動きがよくなり、冷えによる消化不良も改善されやすくなるのです。煮物やお味噌汁にして、温かい料理で摂るのがオススメです!
生姜
冷え性対策といえば、やはり生姜です! 生姜に含まれるジンゲロールという辛味成分は、血行を促進し、体を温めてくれます。また、生姜を加熱するとジンゲロールがショウガオールという成分に変わり、胃腸を刺激して体の深部に熱を作り出す効果がアップします。お茶やお味噌汁におろし生姜を加えるだけでも簡単に取り入れられるので、ぜひ試してみてください!
ねぎ
風邪のときに「ねぎが効く」といわれるのも、じつは内臓を温める効果があるからです。ねぎには、血流を改善するアリシンという成分が含まれています。これが体の巡りをよくし、内臓冷えを解消するのに役立ちます。お味噌汁や炒め物にたっぷりのねぎを加えて、毎日の食事で体を温めましょう!
ちんげんさい
ちんげんさいは、ビタミンEが豊富な野菜です。ビタミンEは血管を広げ、血流を改善し、熱の循環を促進する効果があります。また、ちんげんさいに含まれるビタミンCは、鉄の吸収を助ける働きがあるので、質のよい血液を作るのにも役立ちます。炒め物やスープにして、手軽に摂取しましょう!
漢方を使った温活もオススメ
いきなり食生活を変えるのが難しい方には、漢方薬で体の内側から内臓冷えの改善を目指すのもオススメです。漢方薬は西洋薬と違い、体質改善を目的としています。内臓冷えを改善するには、以下のような働きのある漢方薬を選びましょう!
・胃腸の働きをよくして熱を作り出す
・代謝を上げて、熱を作る機能を回復する
・血流を改善して熱を巡らせる
・水分の偏りを調整して冷えを解消する
<内臓冷えにオススメの漢方薬>
大建中湯(だいけんちゅうとう):おなかを温めて胃腸の働きをよくすることで、おなかの冷えの他、腹痛やおなかのガスに働きかけます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血流をよくするとともに体の水分代謝を整えることで、体を温めて冷えやむくみに働きかけます。
漢方薬は症状の原因や体質に合わせたものを選ぶことで効果を感じやすくなりますが、逆に自分の体質に合わなかった場合、思わぬ副作用が出ることがあります。
たくさんの漢方薬のなかからどれが一番合っているか見極めるには、漢方薬に精通したプロの力を借りましょう。
最近は、自宅からオンラインで漢方薬の専門家に相談できる「あんしん漢方」というサービスもあります。漢方薬に精通した薬剤師がAIを駆使し、あなたにぴったりな漢方薬を選んで自宅に郵送してくれるので、チェックしてみてください。
温活食材で体の内側から温めよう
内臓冷えは、体調不良や気分の落ち込みに繋がることが多く、放っておくと深刻な不調を招く場合もあります。今回紹介した食材や漢方薬を活用し、毎日の食生活から体の内側を温める習慣を身につけましょう。冷えを改善することで、体も心もポカポカになり、元気で前向きな毎日が送れるはずです!
ぜひ、今日から温活を始めて、健康的な体を目指しましょう。あなたも、内臓冷えを解消して、毎日をもっと楽しめる体作りを始めてみませんか?
<参考>
池上文雄、加藤光敏、河野博、三浦理代、山本譲治「からだのための食材大全」NHK出版 2018年
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
吉田企世子、松田早苗「あたらしい栄養学」高橋書店 2020年
<この記事の監修者>
あんしん漢方 管理栄養士
小原水月(おはらみづき)
管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。
自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善/増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれるを食スタイルを発信中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。