「ちゃんカナ」ラストを飾るのは編集長・栗田と夏南ちゃんのクロストーク。Gina誕生秘話をはじめ、最後だからこそ語る夏南ちゃんからGinaへの感謝の思い。一緒に歩んだ2人が等身大の笑顔で12年を振り返ります。
KANA + GINA CHIEF EDITOR
栗田 12年間お疲れ様でした! 夏南ちゃんには創刊号から1回も休まず出てもらっているけど、本当にいろいろな撮影をしたね。ずっと一緒にやってきたけど、夏南ちゃんは良い意味で全然変わらない。12年って長いよね。お互いいろんなターニングポイントもあったしね。
夏南 栗田さんは途中で編集長になったし、Ginaは一度休刊して半年後に復活したし。私は事務所も変わり、プライベートでは2人とも結婚もして。本当にいろいろありましたね(笑)。
栗田 思い出に残っている撮影はある?
夏南 最初の撮影、しっかり覚えてますよ。私、当時はまだ24歳だったんだよね。(創刊号を開きながら)懐かしいなぁ。廃墟みたいなスタジオに行って、そこにマットレスを引いて暑い中撮影したよね。それは鮮明に記憶が蘇る。メイクも今に比べて濃いし、強めな写真でイケイケでしたね。
栗田 時代を感じるよね(笑)。私も当時の編集長について行って撮影を見ながら、夏南ちゃんカッコイイな〜って感動してたよ。あの頃、雑誌は原宿ファッション中心の青文字系や、コンサバ誌が主流でカジュアル系の雑誌が少なくて。Ginaの妹誌でもある「JELLY」読者のようなギャル系のオシャレを楽しんでいた子たちが大人になったときに読むものがないよね、っていうところからGinaが始まったんだ。創刊号は、どんな雑誌になるのか未知数だったこともあって、衣装を借りるのも苦労したし、モデルやスタッフのキャスティングも厳しくて大変だったな。良いものを作りたい気持ちはあるのにスムーズにカタチにできないことが、ものすごく不安でじれったかった。そんな中、夏南ちゃんが「どんな雑誌かはまだ分からないけれど、私を必要としてくれるなら」と言って、Ginaの仕事を快く引き受けてくれたんだよね。そしたら夏南ちゃんが着るなら、と洋服ブランドさんのOKが出て、他のモデルさんも撮影に協力してくれるようになって、ようやくスタートが切れた。3年が過ぎた頃にはいろいろなブランドさんから展示会に呼んでもらえるようになったり、他のモデルさんが「Ginaに出たいです」と顔見せに来てくれるようになったり……うれしかったな。夏南ちゃんが突破口を開いてくれたんだよ。
夏南 私はあの頃、とにかくたくさん仕事をしていた時期だったので「初雑誌だ、頑張ろう!」みたいな気持ちというよりは、日々の仕事のひとつとして自然に始まった感じだったけど、それがいつの間にか12年だもんね。でも声をかけてもらったとき、Ginaは私を主軸に置いて雑誌作りをしたいと言ってくれてたのを覚えてる。実際に出来上がった誌面を見たときも、これまでの雑誌とは違う出し方をしてくれているのに気付いて、ありがたいなぁと。
栗田 創刊して半年後には「ちゃんカナ」の連載がスタートしたね。
夏南 焼肉を食べに行ったり、ゲストを呼んだり。いろいろなことにチャレンジしましたね。
栗田 夏南ちゃんが「ただカワイイだけの写真を撮るのではなく、読者にちゃんと為になることをやりたい」と言ってくれたから、毎回ネタ出しをして、いろいろな情報を詰め込んだんだよね。自分が本当に良いと思う商品を紹介したり、流行りの場所に行ってみたり、読者の悩みに答えたり。
夏南 せっかく自分の連載で自由にやらせていただけるのなら、やりたいことを全部詰め込みたいなと。
栗田 この連載はね、夏南ちゃんって誌面ではとってもクールだけど、本人はものすごく自然体でそれが魅力だと私はいつも感じていたから、それを読者に伝えたいなと思ってスタートしたの。ファッションページでクールにキメてる夏南ちゃんもカッコイイけど、連載ではより素顔な、もっとゆるゆるしてる(笑)普段の夏南ちゃんを知って親近感を持って欲しいなって。
夏南 ありがたいです。2013年には表紙も飾らせていただいて。両親がとっても喜んでくれて、地元の本屋に飾ってあった特大パネルを譲り受け、今でもお家に飾ってあります。
栗田 ステキ♡ 夏南ちゃんがGinaの軸を作ってくれたおかげで、今では多くのモデルさんが出てくれるようになった。夏南ちゃんの生き方やキャリアの重ね方は後輩モデルの指針にもなっていたんじゃないかな。つい先日も、後輩のモデルの子が「30歳を迎えるのに不安もあったけど、夏南さんを見ていたら年を重ねるのが楽しみになった」って話していたんだよ。
夏南 えー! まったく道を築いている意識なんてないけど、私も先輩モデルの背中を見て育ったので、そんなことを言ってもらえるとうれしいです。でもGinaも創刊からどんどん人気になっていったよね。ちょうどカジュアルがファッションの中心になって時代にもタイミングがぴったりあった。Ginaは一貫して女性像がブレないから、撮影もやりやすかったな。等身大で撮影させてもらって、頑張らず無理しないでいられる場所でした。
栗田 創刊の頃はどちらかというと、ファッションや外見に対して「強め」「攻め」みたいな言葉を使っていたけれど、時代とともにファッションがどんどんシンプルになっていって、メイクもナチュラルで柔らかくなった。最近は誌面でも「私らしい」という言葉で、内面に対しての「強さ」を表現するようになったんだよね。「カッコイイ」が今も昔も軸だけど、そのカッコイイの意味合いが見た目から中面に変化していって。それを表現してくれているのが夏南ちゃんだったんだよ。
夏南 褒めていただいて、ありがとうございます。
栗田 夏南ちゃんのライフスタイルに憧れる読者も多かったから、毎号の特集内容を考えるときは、夏南ちゃんのSNSを見て、最近は何を着ているのかな、何に注目しているのかなってリサーチさせてもらっていたんだよ。
夏南 そうなの!? 知らなかった!
vol.2へ続く――
Gina 2023-24 Winter
Model_Kana Oya Photo_Takashi Yoshida Styling_Miki Sayama〈LOVABLE〉 Hair_Keiko Tada〈mod’s hair〉 Make-up_Aiko Ono Interview_Nirai Ikeshiro Edit&Text_Kaori Kurita〈Gina〉 ReEdit_Ayaka Ono〈Gina〉
*商品の表示価格はいずれも税込み価格となります。