「私らしく」働くために大切にしていることって? ヴィーガンフードクリエイター・YOKO KOIKEさんにインタビュー!
Gina世代憧れの輝いているあの人に密着&インタビュー! ヘルシーな健康食としても近年注目が高まっているヴィーガン料理(肉や魚、卵や乳製品を含む、動物性食材を一切使わない料理)。今回はヴィーガンの“ちょっと地味”なイメージを覆すような、色鮮やかなヴィジュアルと美味しさで、モデルやファッション業界からもラブコールが絶えない、ヴィーガンケータリング「SUNPEDAL」を主催するYOKOさんに世界中を旅して得たエッセンスと、日本の食材を織り交ぜた唯一無二の世界観を生み出す彼女にお話を伺いました。
型にハマらない、自分らしく 働ける道を模索してきた
ヴィーガンケータリング「SUNPEDAL」主宰 YOKO KOIKEさん
1990年生まれ、宮城県出身。2016年、ヴィーガンレストランでサービススタッフをしながら副業でケータリング事業を開始。2018年に設立した「SUNPEDAL」では、旅の記憶と香りを織り交ぜたヴィーガン、シュガーフリー(砂糖、メープル、アカベ不使用)の無国籍なフュージョン料理を提供。撮影現場やイベント向けのケータリング業、スパイスの開発、日本・世界各地で出会ったクリエイターを巻き込んだイベントを主催。@sunpedal
留学先での異文化体験が現在の仕事の指針に
──ヴィーガンフードクリエイターとして活動されていますが、足を踏み入れるきっかけは何だったのですか?
「大学卒業後に経験したイギリス留学で、ヴィーガンはもちろん、さまざまな国の料理や文化に触れたことの影響は大きかったですね。今の自分の仕事の指針にもなっていると思います。
イギリス滞在中に働いたチーズ屋さん、そして日本帰国後に就いたチーズ専門商社の営業職、ヴィーガンレストランのホール業……、今まで様々なジャンルの食の仕事を通して、“型にハマらない自分らしく働ける道”を模索してきました。そんな中で徐々に今のカタチに行き着いたのだと思います。
両親も食好きで。母はマクロビオティック(玄米などの穀物や旬の野菜、海藻、漬物など日本の伝統食をベースとした食事)が趣味で、父も水産関係の会社を経営していて、無添加で安心安全な食に目を向けていました。思春期の頃は一時的に反動でファストフードにハマったこともありますが(笑)、根底にある“食を大切に楽しみたい”というルーツはそこにあるのかもしれないです。
でもヴィーガンというジャンルを自分の中で明確に意識し始めたのは、前職のヴィーガンカフェで食べたフードがきっかけだったと思います。ヴィーガンが盛んなロンドンへ留学していた時代もいろいろな食の体験をしましたが、当時(2013年)はまだヴィーガンもそこまで盛り上がっておらず、私自身もベジタリアンの他にヴィーガンが存在すること自体、知りませんでした。なので、これがヴィーガンフードだ! と、特別意識することなく単純に楽しんでいました」
直感を頼りに。ハプニングさえも「旅」するように楽しむ
──「SUNPEDAL」は、ケータリング業の枠を超えて、ポップアップイベント「さんぺだる旅まるしぇ」や、オリジナル調味料「さんぺだる塩」の開発など、幅広く活動をされているのも魅力だと思いますが、その発想源はどこからくるのですか?
「すべてに言えることですが、何かを起こすまでには必ず、直接的でなくても様々な軌跡があると思うのですが、やはりそのルーツは『旅』に繋がっているように思います。旅先で食べたもの、見たもの、出会った人、こんな味、こんな香り、こんな記憶──。東京にいると常にいろんなものが迫って来て、次、次、次……! と追い求められますよね。だからこそ、仕事をがんばる原動力にもなると思うんですが、それを一旦、無にして一から吸収する時間が私にとっての『旅』。そのときにインプットしたものを、東京に戻ってアウトプットしているのだと思います。私の人生は、計画してなかったことがほとんど。思った以上に良い方向に向かっていったり、直感でこうしてみよう! とか、この人と何かやってみよう! とか。模索しながら物事を進めてきました。
また旅も同じ。スケジュールをいくら組んでも飛行機は遅延するし(笑)、でも待ち時間にお隣さんと話したら良い情報がもらえたりもするし。行きたかったお店は定休日だったけれど、別のお店に行ったら大当たりだったり……そんな旅のようにそのときのハプニングも含めて、“これはそうゆうことかもしれない!”って、自分をハッピーに納得させる回答を常に用意すれば良いんじゃないか、と思うんです」
──では、YOKOさんが「私らしく」働くために大切にしていることはありますか?
「型にハマらないことですね。同じことを繰り返していると飽きてしまう性分というのもありますが、とにかく“こうしなくちゃいけない”、“こうでなければいけない”という考えは捨てています。
結局、自分を苦しめているのは社会ではなく、自分自身なんですよね。そうならないためには、とにかく“型にはまらないこと”なんじゃないかなと思うんです」
──最後に「私らしく働きたい!」と願うGina読者にアドバイスをお願いします!
「自分にしかできないことって突き詰めるとすごく大ごとのように感じますが、どんなジャンルのお仕事でも、自分にしかできないことって必ずあります。自分では気付いていなくても、まだ言葉にはできなくても、きっと必ず!」
Gina 2023 Summer
Photo_Kousuke Matsuki Edit&Text_Mio Nemoto ReEdit_Ayaka Ono〈Gina〉