［ウェルビーイングな毎日を！］幸せホルモン「オキシトシン」があふれる日々のセルフケア

「幸せ」を感じる瞬間。それは友達との楽しいおしゃべりかもしれませんし、お気に入りの音楽を聴いているときかもしれません。その感情は、あなたの体内にある「オキシトシン」というホルモンが引き起こしています。この「幸福ホルモン」を活用すれば、毎日がもっと楽しくなるかもしれません。

今回は、薬剤師の碇純子先生に、幸福ホルモンであるオキシトシンに関する情報を教えていただきました。ぜひ参考にしてみてくださいね！

幸福ホルモン「オキシトシン」とは？

オキシトシンは、通称「幸福ホルモン」とも呼ばれています。まずはオキシトシンにはどんな役割や効果があるのか、詳しく探ってみましょう！

オキシトシンの役割
オキシトシンは私たちの脳内で作られるホルモン。このホルモンは、人間関係や絆の形成に重要な役割を果たしています。特に、母親の出産や授乳には、母子の絆を強める働きがあります。また、親子や恋人同士の強い絆の形成や、他人や動物との信頼関係を築く際にも重要な影響を持っているのです。

オキシトシンの効果 
オキシトシンは、人々のつながりや絆を強めるサポートをしてくれます。オキシトシンが分泌されると、私たちは幸せを感じます。この感情は、私たちが他人と親しくなるためのきっかけを作る大切な役割を果たしているのです。

また、オキシトシンは記憶力や学習能力を高める働きもあり、日々の生活に元気を与えてくれます。

さらに、オキシトシンが分泌されるとストレスが軽減され、心が安定します。これは、日常生活のなかで直面するストレスから解放され、より健康的な日々を過ごすために役立つでしょう。

ストレスケアに有効！　オキシトシンを増幅するためには？ 

毎日、穏やかな気分を保ち、健康的に過ごすためには、オキシトシンの分泌を促す行動を積極的にとってみましょう！　ここでは、オキシトシンを増やすのに効果的な5つの方法を紹介します。

家族や恋人・ペットとのスキンシップ 　
家族や恋人などとのスキンシップは、オキシトシンの分泌を高めます。人だけでなく、ペットを抱きしめたり、なでたりする行為でもOK。軽い皮膚刺激が安心感を生み出し、心が安定するのです。(※1)

スキンシップは、触れる方と触れられる方、両方のオキシトシン分泌を高めることもわかっています。出かけるときや寝る前などに、ハグの習慣をつけるのもいいですね！

セルフタッチ 　
スキンシップは、自分自身に対しても有効です。例えば、自分の手足を優しくさする、手を握るなどの行為もオキシトシン分泌を促すとされています。お風呂上がりにマッサージオイルを用いて、手足をマッサージする習慣を取り入れてみるのもオススメです。(※2)

ヨガ
ヨガの深い呼吸は、心地よいリラクゼーション効果をもたらし、ストレスホルモンの分泌を抑えてオキシトシンの分泌を促します。(※3)
深い呼吸をしながら体を動かすヨガは、運動が苦手な人でも取り組みやすいのでオススメ。普段意識しにくい体の感覚に注意を向けることで、心と体のつながりを理解できます。習慣づけることで、心の声に耳を傾ける大切な時間になるでしょう。

誰かと一緒に食事をとる
食事を通じて人とのつながりを築くことも、オキシトシンの分泌を促す方法のひとつ。会話を通じてお互いの信頼感や愛情が高まることで、オキシトシンが増加し、心に安らぎや幸福感をもたらす効果があるのです。(※4)

大切な人との食事はもちろん、友人や同僚、知人との軽いランチでも人とのつながりを実感することができるんです。

音楽を楽しむ
音楽を聴くこともオキシトシン分泌を促す活動の一つです。特に、自分が好きな音楽を聴くときは、心地よい感情が湧き上がり、オキシトシンの分泌が増えます。また、歌を唄うこともオキシトシンの分泌を高め、ストレスの緩和につながります。(※5)

ストレスケアには漢方というアプローチも！

日々感じる心身の疲労やストレス、不安を和らげるためには、体内のオキシトシンを増やすことが大切です。そのためには、日々の行動や習慣に加えて、漢方薬というアプローチもオススメ。漢方薬は毎日決まったものを飲むだけなので、行動改善より手軽で、体質から根本改善を目指すことができます。

ストレスや緊張は自律神経を乱し、過度の心労や過労は不眠や不安感の原因になると考えられています。そこで、ストレスケアには、次のような作用をもつ漢方薬を選びます

・気分の落ち込みを改善する
・自律神経のバランスを整え、ストレス耐性を高める
・イライラや興奮を鎮める
・消化・吸収機能を改善してからだの内側から心とからだを元気にする

以下では、ストレスケアにオススメの漢方薬を2種類紹介します。

心身の疲れを和らげ、ストレスケアにオススメの漢方薬

加味帰脾湯（かみきひとう）
気（エネルギー）と血（栄養）を補い、貧血、不眠症、精神不安などの改善に使われます。また、全身怠惰感、食欲不振などを伴う場合にも用いられます。

桂枝加竜骨牡蛎湯（けいしかりゅうこつぼうれいとう）
神経の高ぶりを鎮め、不安を取り除いて、不安定な精神症状を落ち着かせます。神経が過敏になることで起こる不眠やイライラなどがある方におすすめです。

漢方薬は、体質との相性によって効果が左右されるため、漢方薬のプロに相談するのがベスト。体質に合った漢方薬を選ばないと、副作用が生じる恐れもあります。

最近では「あんしん漢方」などのオンラインAI漢方サービスが登場しています。薬剤師がAIを活用し個人にぴったりの漢方薬を見極め、手頃な価格で自宅に郵送してくれるサービスです。「病院に行くのは億劫」「忙しくて相談に行く時間がない」という方でも、無理なく安心して漢方を始められます。

あんしん漢方：https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=22z332f6gina0001

オキシトシンの力を利用し、心地よい日々を迎えるための具体的なステップをご紹介しました。これらの活動を毎日の習慣に組み込み、安らぎと幸せを感じる時間を増やして満ち足りた毎日を過ごしましょう！

参考文献
(※1) 心身健康科学「オキシトシンと心身の健康」15巻1号 2019
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/15/1/15_48/_pdf/-char/ja 　
(※2) 日本香粧品学会誌「皮膚感覚と心」46巻1号 pp.51-58 2022
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koshohin/46/1/46_460106/_pdf
(※3)厚生労働省 「ストレス関連疾患に対するヨガ利用ガイド」https://www.ejim.ncgg.go.jp/doc/pdf/y01.pdf
(※4)
Roman M. Wittig et al. “Food sharing is linked to urinary oxytocin levels and bonding in related and unrelated wild chimpanzees. ” Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences,2014.
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2013.3096(※5)Yuuki Ooishi et al. “Increase in salivary oxytocin and decrease in salivary cortisol after listening to relaxing slow-tempo and exciting fast-tempo music.” PLOS ONE, December 6, 2017.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.018907